「よく分かる最新スマートグリッドの基本と仕組み」

スマートグリッドをスマートに説明するのは難しいと最初に書いてある。一言で言えば発電・送電・配電・消費をデジタル制御するということのようである。アメリカのスマートグリッドの目的はピーク電力の抑制にあり、その理由はピーク電力が足りないから必要に迫られているということだ。欧州ではピーク電力は足りているが、変動する自然エネルギーを大量に電力ネットワークにいれるために計画されている。日本はピーク電力の問題は震災まではなかったし、変動するエネルギーを逆流させることができないため受け入れられないのでスマートグリッドを入れる必要がなかった。しかし、今後震災によってピーク電力の問題が続いたり脱原発が進んで変動する自然エネルギーを大量に受け入れざるを得なくなればスマートグリッドの導入に進むかもしれない。日本では9電力が地域独占しているため、たとえば北海道の変動を東京で吸収するなどということができない。それでは風力発電の導入は進まない。今後日本で風力などを大量に導入するには各電力管内でスマートグリッドを入れるだけでは不十分であり、全国的な送電制御を集中して行う組織や、それを可能にする直流送電設備をいれるべきだろうということだ。発電自体は安定しているが、政治的に非常に不安定な原発は増えれば増えるほど電力調整余力が減って風力発電を受け入れにくくする。今の段階でとにかく脱原発依存がいったん宣言されるのは将来の送電を考えるうえでいいことだと思う。