「少年H」「終戦のエンペラー」

試験も終わったので夏休みの戦争映画2本見てみた。戦争映画といっても実際に戦闘しているシーンは「風たちぬ」も含めて皆無だが。少年Hは昭和16年に小学5年の神戸に住む子からみた戦時中の物語だ。よくできた子役でした。終戦のエンペラーは占領軍からみた終戦直後の日本で天皇を死刑にするかどうかを検討している映画。開戦前の昭和15年の回想シーンも結構ある。ついでに言えば風立ちぬは戦前の関東大震災大正12年)〜昭和10年ごろまでの話。戦前、戦中、戦後の映画をその順番で1本ずつみた感じ。
終戦のエンペラー」は風立ちぬと見た印象がかぶる。共通点が多いのだ。歴史に残るいい仕事をする実在した若手が主人公で、それに実在しなかった美しい恋愛が絡めてあるという構造がまったく同じ。彼女の家を訪ねるシーンなどは映像的にもかぶる。喫煙シーンも多い。見比べたのは面白かったかも。少年Hも聞いた玉音盤をめぐってクーデターがおきかけたというのは知らなかった。戦中の理性を失った日本は戦争を終わらせるのも大変だった。それを調べた主人公は天皇の開戦責任は不明だが終戦の功績大としてマッカーサーに報告する。そして天皇マッカーサーを訪ね有名な写真をとり、その後の日本が始まるのだ。日本は自国ながら本当に不思議な国だ。天皇が同じなのに戦中と戦後の日本の違いを他国は理解できなかったろう。この映画は企画が映画にでてくる天皇側近の孫で、アメリカ映画でイギリス人の監督、主要撮影はニュージーランドだそうである。外国映画なだけに日本の描き方はちょっとへんなところもある。最後に見たせいもあるが、これが一番面白かったかも。
主人公のボナー・フェラーズは調べてみると終戦の年には49歳で、恋愛が絡む余地はまったくない。しかし、彼の大学時代渡辺ゆりという日本人留学生と仲が良かったのは史実で、終戦のときにも会い、生活の支援をしたり、天皇処遇のアドバイスを受けたりもしたようだ。歴史には影も形もない菜穂子とはちょっと違うね。