打点の話


1月31日は太田フィルの定演だった。打ち上げの席で面白い話があった。太田フィルの練習のときはたいてい弦楽器は発音がはやく、管楽器はおそいことが多い。管楽器は息を吹き込むことに時間がかかるせいかと思っていたのだが、管楽器の人に聞くと、吹奏楽では通常指揮者の打点に合わせて音を出す訓練をするのでオケだとはやすぎると注意されることが多いらしいのだ。だから遅めに発音し、遅れすぎているようである。指揮法の本には打点で音をだすために打点を予測させる放物運動で振ることがかかれているし、昔ワセオケの友人に聞いたのだが、カラヤンがきたときも打点で音をだすのが正しいと教わったそうだ。だから打点に合わせて発音することは間違っていないはずだ。しかし実際のプロオケではN響などを見ても指揮者の打点などまったく無視しているかのように遅れて音が出てくる。今回太田を振ってもらった指揮者の先生によると、弦ソロと管楽器であれば打点で音を出せるだろう、弦楽合奏では遅れるだろうとのことだった。つまり多数の弦を揃えるのに時間がかかるということだろうか。昔太田とルーデンスを振ってもらった指揮者がいて、その人は指揮棒に合わせるなと口をすっぱくして言っていた。指揮棒が振り下ろされたらコンマスに合わせて音を出すということだ。非常にやりにくかったのだが、確かにルーデンスではそれまでなかったいい演奏になった。指揮棒が振り下ろされたときのエネルギーがコンマスが動くまでせきとめられ、コンマスの動きと同時に噴出するような感じですごい「ため」が表現できた感じだった。しかしそれも行き過ぎると指揮者の不在のようにならないだろうか。N響などみているとそんな印象を受けることが多い。まあとにかくオケの世界ではコンマスに合わせるというのがどんな状況でも正しいようだ。そういえば太田フィルでも前は指揮なしのコンマスあわせ練習というのをやっていたが最近やらなくなっている。棒なしであわす練習をもっとやったほうがいいのかも知れない。