原発の選択肢

菅総理脱原発を宣言して以来、そっち方面の論議が意外に活発だ。方向性に議論の余地は無いように感じるのだが。どちらかというと脱原発に危機感をもった推進派の議論が活発と感じる。しかし、この夏かなりの原発がとまった状態で東電管内など20%もの余裕で乗り切ってしまったので推進派の旗色は悪いと言えるだろう。原発推進派の意見は再生エネルギーは原発の代わりにはならないというものだ。それは現時点では確かな話だが、しかし、原発の代わりになる候補はいろいろある。この夏を乗り切ったことで候補になるのが「原発か節電か」ということである。今年の節電は法による強制があったが、それをしなくても似たようなことは制度の工夫でいかようにもできるだろう。たとえばピーク時に電力を下げる契約は電気を安くするとか。また、今年は時間がなかったから節電投資もできなかっただろうが、来年もあるとすれば節電投資によって節電することも考えられる。普通に考えられるのは「原発かCO2か」である。つまり原発を火力で置き換えるということ。それでも火力発電の効率はどんどん高まっているので火力の設備を最新におきかえれば火力が50%増えてもCO2の量がかわらないということもありうる。また、「原発かコジェネか」という選択肢もある。つまり発電時の熱を利用することで電気とその他のエネルギーをあわせた総合効率をよくするということだ。これも発電を増やしても全部のエネルギーの総量として増えないということがありうる。「原発か再生エネルギーか」だって時間とお金をかければ非現実的なものではない。むずかしいのはたしかだけど。実のところ「安全な原発かコストの安い電気か」という選択肢もある。原発だって確実に安全なものだけ動かし、危険な原発は安全なものに置き換えるという路線もある。これまでは低コストがうたい文句だったので原発に金をかけすぎるわけにはいかなかったが、今後動かすとすれば安全対策には金を惜しんでもらいたくない。いろいろ切り口があるはずなのに推進派の論調は全て「再生エネルギーは原発の代わりにならない」というものだけだ。論議は活発でもつまらない。