原発停止のコスト

 アゴラのコメント欄に自分で書きながらあーなるほどーと思ったので自分のブログにも書いておこう。
 自分の最初のコメント
「過去の投資を回収するほうを優先するか、将来の損失を最小化するほうを優先するかの違いでしょう。再稼動しないということは過去の投資が回収できないことを意味しますが、同時に将来の事故の損失やコスト算定不能の廃棄物処分費を低減する効果があります。再稼動しない場合に発生するコストは現在の電気代を現在のお金で払っているだけで国富が失われていることにはなりません。」
それに対しついたコメント
「『現在の電気代を現在のお金で払っているだけで国富が失われていることにはなりません。』これってどういう意味でしょう? 過去の投資が回収できないということは、損失なのではないのでしょうか。 例えば、今ある倉庫があと20年使えるのに、その倉庫を使うのをやめて、(仮にまったく同じ)新しい倉庫を建てたら、向こう20年にわたって、倉庫一つ分の余計な費用が発生するでしょう。 新しい倉庫を建てる費用は、今日払うから損失じゃないよ、というのは無理がありませんか。 もともとある倉庫を使えば払う必要のない費用ですから。」
それに対し自分の回答
原発が動いても日本の電力の半分は火力で作っています。その燃料費を国富の流出といいますか?言わないですよね。それは電気を作るための通常の費用だからです。その割合があがるだけです。一方原発廃炉にすれば原発への投資は無駄になり資金回収ができません。これは損失です。ところが安全確認で何年とめてもいずれ再稼動すれば資金回収はできます。つまり損失は実際には発生しません。つまりいずれの場合でも電気を使う以上は支払うべき対価を払っているだけなのです。核燃料の消費を化石燃料に一定期間置き換えただけでありその間核燃料は消費されていないのでなにも無駄になっていません。安全確認はじっくりやればいいのです。国富の流出を止めたいなら節電や省エネ、効率化、再生エネルギーの導入を行う以外にありません。」
 そうか、そうだったのか。って自分で言うのも変だが。再稼動の賛成論には二つあって一つは夏の電力が不足するからというもので、もうひとつが原発を止めることでかわりの燃料費がふえて損だというものである。後者は実は損ではなかったのだ。原発を停止しても停止した分長く動かせば投資は回収できる。停止している間の火力の燃料費は通常の火力の燃料費と同じで電気の対価であり損したことにならない。再稼動前に払うか寿命がきて廃炉後に払うかだけの違いなのだ。とすればいずれ化石燃料は高騰が予想されるし、日本の円もギリシャのように暴落することが予想されるから今なるべく安全確認に時間をかけ長く停止させて化石燃料高騰後、円安後に動かしたほうが投資効率は高い。やっぱり安全確認は時間をかけてやるべきなのだ。
 夏の電力不足はやはり計画停電に備えるべきだろう。計画停電対象の回線(というのかな)とそうでない回線を用意し、対象の回線は電気料金を15%値下げし、対象外の回線は30%値上げすればいい。そして対象となる回線を選択した人は自家発電や停電時に休日をもってくるなどで対応すればよい。家庭なら太陽光やプリウスの電気を用意する。太陽光は買い取り制度もあって十分にもとがとれるし。そして夏の停電なら電力不足は昼間だろうから太陽光が十分活用できる。停電で困るのはどうしても停電したら困るところが停電してしまうことだ。信号とか。備えがあればどうってことない。このようにすれば皆なんとかなるのではなかろうか。