「ラーメン屋vsマクドナルド」

銀行出身のエコノミストの人が長年のアメリカ滞在の経験から日米比較をした本。専門家だがくだけて書いてあり読んでいてとてもおもしろい。題名は多くの話題の中の一節にすぎないのだが、サービスを均一化して大量生産し、大量販売し、利益を最大化する典型的なアメリカ的なのがマクドナルドで、従来と違った味を追求する弱小ラーメン屋が林立するのが日本的な現象ということで、外食産業の話というよりはアニメ業界の比喩として語られる。ほかにもひらがなカタカナ漢字と読み書きに膨大な努力を強いられる日本語とアルファベット24文字で終了の英語では読み書きと話す、聞くことに関する比率がぜんぜん違うということなど、なかなか面白い視点が多い。ブログの言語シェアでは日本語は英語と匹敵するそうだ。日本人は討議はまったく苦手でも読み書きのエネルギーはすごいということかも知れない。ほかにも希望を語るアメリカの政治家、危機を語る日本の政治家、アメリカ人はとにかくよくほめるが日本人はよっぽどのことがないとほめないし、日本人は預金が多く投資が少ないというが、アメリカのそれは少数が多くの資産をにぎる不平等からきていることで、多少のリスクを負っても生活に問題ない人が多くの投資をし、それがベンチャー企業を育てている、日本はリスクを負える金持ちが少ないので投資が少なくベンチャーが育たない。だったら不平等になることを望むかといったら望まないだろう。とか。いろいろと面白い。

ラーメン屋vs.マクドナルド―エコノミストが読み解く日米の深層 (新潮新書)

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