再エネと海水ウラン

エネルギー問題を考えたとき、再エネは純国産エネルギーでかつ温暖化ガスをださないので温暖化対策としてもエネルギーセキュリティの点でも満点。問題は需要と発電を合わせることができない点にあるが、いずれ石油や石炭を直接使用している用途も再エネに置き換える必要があり、その際は水素か、CO2合成したメタン、アルコールを使うことになるだろうから再エネが十分増えれば問題は少なくなってくる。しかし、稼働率が低いので使いづらいことは間違いない。次点は原子力。温暖化ガスをださないし、ウランはかさが少なくため込めるから準国産エネルギーと言われている。しかし、もし海水ウランが抽出できれば純国産になって満点に上がれる。海水ウランは実用的なのだろうか。ウランコストは1kg1万円程度らしい。1g10円。これが海水ウランだと3〜4万円。1g35円とか。1g50kWh発電すると電力コストのうち原材料代が1kWhあたり0.2円だったのが0.7円になる。原発の電力コストは1kWhあたり10円と言われているから海水ウランにしたところでコストは5%増えるだけ。ほとんど影響は無い。ならば海水ウランによる原子力発電は可能だろう。ということは原子力は準国産ではなくてほぼ純国産エネルギーだ。どうしてそれをやらないのか不思議だ。1割でもその方法で発電すればその分は純国産エネルギーというお墨付きができるのに。まあ、原発は事故の危険性を許容されなければ増設できないとすればそこだけ片付いてもしょうがないということか。しかしたくさんある原発の懸念の一つがそれで確実に片付くのにやらないのは変。同様に変なのは明らかにコストが下がるロシアからのパイプラインがなぜか拒否されていること。日本のエネルギーはやはりなにか歪んでいる。

これらは投資資産の回収という視点から見ると納得がいく。ロシアのパイプラインを拒否するのはLNG設備に大金を投じたため、ロシアからのパイプラインのガスが入ってガス価格が下がるとLNG設備代の回収ができないためだ。つまりガスの高値維持のためである。海水ウランも同様で、核燃料リサイクル設備に大金を投じたため海水ウランでリサイクル不要になると投資回収ができなくなって困るのだろう。再エネに批判的なのも再エネのような限界費用ゼロのエネルギーが増えて自由化も進むと電気代はゼロに近づき、これまでの原発を含む発電設備の投資回収ができなくなるので何とか再エネを阻止しようとしている。つまりすべては電気代を高値安定させて投資回収を図る動きというわけだ。これらは独占企業の典型的な行動。やはり電力は自由化しないといろいろな歪みがでてくるということだ。