中国の再エネと原子力

世界の再エネは過去20年、年率14.2%で伸びており、このままいけば2050年には世界需要の3倍程度が見込まれることを先日示した。一方日本の再エネは過去20年平均では年率10.2%で伸びており、世界に比べれば低いがその増加率が今後も続けば2050年には全エネルギー需要を賄える規模に成長することを先日示した。では最大のCO2排出国中国はどうなのか。中国の再エネと原子力を同じ統計(bp Statistical Review of World Energy July 2021)からグラフ化してみた。

f:id:vaceba:20211218162645p:plain

中国の再エネと原子力

中国は過去10年では再エネが年率約25%、原子力が年率約16%で増えており、原子力さえ日本の再エネ伸び率10.2%を大きく超えている。この調子で増えるとなんと2035年には再エネは全エネを超え、2046年には原子力も今の全エネを超える。中国は2050年の脱炭素を宣言しておらず、2060年に脱炭素と言っていて国際社会から批判されているが、実は脱炭素が一番早いのは中国かも知れない。

原子力がこれほど増えるとウラン確保も問題になるだろう。しかし再エネが余るほどあれば再エネで海水ウランを作ることで原子力も持続可能になる。まさにそれを狙ったのかどうか、今年中国が海水ウラン施設を作るというニュースがあった。

www.fepc.or.jp

再エネで海水ウランを作り原子力で発電して純国産、持続可能とすることが自分の持ち論だが、それには再エネも原子力も全エネに匹敵する規模が必要だ。日本では特に原子力は時間的にも能力的にも政治的にももはや無理。それを実現してくれるのは残念ながら日本でなく中国になりそうだ。

なお、全エネ、再エネ、原子力はいずれもConsumption(消費量)で比較している。原子力でいえば発電量ではなくウランの消費量なので発電量は消費量の約1/3だ。なので例えば原子力が全エネと同じになっても実際には原子力が全エネを供給することはできない。ただ、化石燃料が電化されても効率は上がるので結果的にはできるかもしれない。これはそういう微妙なことを云々するような予測ではないので適当です。