シベ2聴き比べ

太田フィルの今回の演奏会のメインはシベリウス2番だったが、同じ曲を11年前にやっているので録音を聴き比べてみた。弦のエキストラが団員より多い今回の方が演奏はだいぶよくなったのではと予想した。とは言え耳が悪いので補聴器をつけてそれをカバーできるフルカバー型のヘッドホンでがんがんに鳴らして試聴。結果は・・・。

ぱっと聴いたところではやはり今回の方が音は良い。弦の音が大きいししっかりはっきりしている。パート間もよく合っている。テンポが一定ならすごくきれい。テンポの変化のあまりない魔笛なんかはかなりのできなんではないかと思う。

一方、音の揃い方という点では前回の方がいいかも。前回の方が粒が揃っているし、特にシベリウスでよくあるテンポが変化する部分での息の合い方は前回の方が明らかに良い。まあ、一言で言えば前回の方がノリが良い。

エキストラは練習にはあまり参加しないし、経験豊富な人も多いからテンポの変化も経験値や主張などもあるだろうし、それが指揮者と必ずしも一致するとは限らないし、それを一致させる時間も少ない。やはりエキストラが多いと音自体はよくなっても曲想を合わせるという面ではマイナスかも知れない。一方、11年前の太田フィルの弦団員は学生オケなどの経験者も少なく指揮者の指示通りに動くしかないからそれが結果的によく揃い曲想もよく合うという結果になったのかも。

どちらの演奏が好きかは好みが分かれるだろうが、自分は音楽は基本リズムだと思っているので揃った方が気持ちいい。やめといてなんだがやはりアマオケは下手でも団員が多い方がいいと思う。ただ、前回のシベ2を振った指揮者が演奏会後もう太田フィルは振らないと宣言したりしたから団としてはこのままじゃいけないと思ったかも知れない。その結果今回があるとすればそれが団の意思ということなのだろう。

星野富弘の詩画集の一節に「強いものが集まったよりも弱いものが集まった方が真実に近いような気がする」というのがある。前回のシベ2はまさにそんな感じだった。弱いものが集まれば弱いのは確かだが強い方がいいと思うか真実に近い?方がいいと思うかは価値観の問題だ。