楽器別人間学


ベースからチェロになって性格が変わった気がする。ベースのときは博愛主義者だった。ベースがベースだけで目立ったりベースだけで弾いておもしろいところというのはそうはないのでベースは利己主義にはなれない。他の楽器のために役立てれば幸せという感じである。また演奏がくずれた時もベースがしっかりしていればなんとかなると思うので演奏全体にも責任をもつ、あるいは感じることになる。しかしチェロの場合チェロだけで弾いてもおいしいところ、目立つところが結構ある。他の楽器を生かすどころか他の目立つ楽器といかにすばらしく弾くかの競争になってくる。締めるべきところや細かいところはベースやバイオリンなどの影に隠れることもできる。自分さえ目立てば全体の演奏などどうでもよいというかなり利己主義的な感じになってくる。おそらくメロディ楽器ほどそうなのであろう。それでもチェロは低音パートにまわることもあるから極端に利己主義に走ることもないとは思われるが。しかし音楽的利己主義もなかなか気持ちがいいものだ。