「失敗百選」「東京電力企画室」


「失敗百選」人の失敗を面白がる本ではなく、技術的失敗例を集めて設計に役立てようという本。しかしタイタニックの沈没原因は実はリベットが低温でもろくなり氷山の衝撃でもげてしまったため浮き上がった鉄板の隙間から水が浸入したなど一般のニュースなどでは得られない専門的な面白さがある。フェールセーフ設計だから大丈夫、ECCSがあるから大丈夫などと一般には安易に説明されることでも実際にはかえってあだとなったり、非常時しか動かないがためにさびついていたりなどして大きな事故になっている。無事故を続けている新幹線や発電所などはすごいと思う。失敗といえば言葉は悪いが終わってしまえばやりたくてもできない貴重な破壊試験結果なのだ。失敗の記録を残すことは実に大切なことである。
東京電力企画室」1970年代ごろの東京電力のドキュメント。東京電力というと半官半民のイメージだが意外にもそのころまでの東京電力の歴史は官との戦いの歴史のようである。原子力導入もそのころだが導入の動機も半分は官との主導権争いのようである。いろいろな問題が山積しているなかで停電もなく増えつづける需要を満たしていくのは大変なことのようである。それでもこのころは石油にかわる原子力があったからいいが、いずれ石油も枯渇し、ウランも中国などとの奪い合いとなって足りなくなってきたりすると世の中はいったいどうなってしまうのだろうか。