排出権取引は悪い選択か


日本でCO2を削減使用とした場合太陽光など再生可能エネルギーを増やす、省エネルギーに励む、排出権を購入する、などの方法がある。排出権を購入する方法はこの中で現状もっとも簡単で安い、つまり安易な方法である。さて、その安易な方法を選ぶことは悪いことかどうか。まあ、いくつかデメリットは上げられる。エネルギー安全保障の点からいえば国内で産出できる再生可能エネルギーを増やすほうが望ましい。また、省エネルギーの技術開発を国内でやれば競争力強化につながる。排出権購入ではこのいずれも得られないし、そんな理由で外国に多額の支払いをするのはもったいないというような主張はわからないでもない。しかし排出権購入以外の方法は日本では経済的な合理性は得られない。やらねばならないとなったらだれでも経済合理性を優先するだろう。つまり25%減を公約したということは多額の排出権購入をしますよという意思表示ということになる。それは日本にとって悪いことか。その意思表示を見て排出権を売りたい国々はより多くの排出権を売れるよう省エネ機器の導入に動くだろう。日本の省エネ技術が本当に優れているならそれは日本からの技術導入の方向に動く、つまり日本の技術が売れると言うことではないか。排出権購入費は海外に支払ったように見えてあるいは日本に戻ってくるかも知れない。技術が売れるようなら日本の省エネ技術開発も進むだろう。また、こういう動きは確実に世界全体のCO2を減らす方向になるだろう。日本の限界費用が高くて多くの排出権購入が必要と言うことはそれだけ多くの省エネ投資を海外で誘発するということだ。それはそれでいいのではないか。決して排出権購入はCO2削減という目標からみて無駄ではない。エネルギー安全保障はそれとは別の話だ。もちろんCO2と温度上昇が本当にリンクしているかという話もそれとは別にあるが。