図書館コンサート三昧

 昨日は午前はルーデンスの邑楽町図書館コンサートのリハーサル、午後は本番。そして夜は群響あやのさんとみのるくんの新田町図書館コンサートを聴きに行った。
 ルーデンスの邑楽町図書館コンサートは3回目。昨年は震災から2週間後で多くのコンサートが中止になるなかやって、やっぱり音楽はいいものだなーと思った。今年も最初の1曲はアリアをやって一応献奏ということに。あとはブルータンゴ、シンコペテッドクロック、わが母、パバーヌ、グリーンスリーブス、カノン、セーテル、ドナウ。最後にふるさとを歌って終わりのつもりだったがアンコールが出たのでカノンをもう一回。約1時間の短いコンサートだ。
 今年は曲もなかなか決まらず、練習もなかなか進まず、前日までどうなることか、今年は失敗で来年は無しかなと思っていたのだが、当日になるとなんだかみんなの気持ちがまとまったようで、本番はなかなかいい出来だったような気がする。もともと70席程度しかない会場なのだが、足りなくていすをたくさん出したが、あとから来た人は座れない方もいたくらい大勢きていただいた。ふるさとでは涙ぐんでいた方もいたそうで、来年も楽しみにしているとの声もあり、だったらやっぱり来年もできるようにがんばろうと思う。
 こんなとても上手とは言えない団体でも意外といい演奏ができたりするのが音楽の不思議なところだ。逆にどの人をとってもアマチュア界では相当上手な人ばかり集めた合奏団でどうしようもない演奏をしたこともある。音楽には上手下手ではない何かがあっていくら上手でもその何かがないとだめなのだ。太田フィルのラフマニノフでも感じたことだが、上手な人はそれぞれ自分の演奏をやってしまい合奏としては整合がとれず、下手な人はどうしても人に合わせてしまう結果、合奏としては統一感のあるいい演奏ができたりもするようだ。もちろん統計的にはうまい人がいい演奏をし、下手な人はだめな演奏をする場合が圧倒的に多いとは思うが。どちらになるか、本番はやってみないとわからない。
 夜は新田町図書館コンサートを聴きに行った。こちらは現役の群響コンサートマスターコントラバス首席によるアンサンブル。上手な人の代表である。しかも群響のなかで自分が好きな人ベスト3のうちの二人だ。絶対聴きたいコンサート。
 しかしいくら上手でもバイオリンとコントラバスのアンサンブルは難しいはずだ。同じ弦楽器でも音域も発音も響きも天と地ほども違う。これをどうアンサンブルするか見ものだと思っていったが、本当にびっくりするコンサートだった。
 曲はヘンデルのバイオリンとビオラのための二重奏曲を中心として、チャールダッシュやカバティーニなど親しみやすい曲をプログラムしている。はっきりいって完全にコントラバスステージであやのさんはまるで伴奏。ほんとはそんなことはないのだが、ベースがほぼバイオリンと同じことをやるのでその超絶技巧にみとれてしまう。
 あやのさんは曲の紹介でバイオリンとビオラのための曲はバイオリンとチェロ、バイオリンとコントラバスでもよく演奏されますなんて言っていたが、バイオリンとコントラバスでよくやってるなんてありえない。あんなことをできる人が日本にそう何人もいるとは思えない。昔ベースをやっていたころ、いいベースの演奏が聴きたくて何度かベースソロやベースアンサンブルのコンサートにいったが(何度かしか行ってないが)、すべてがっかりしたものだった。プロと言えどもハイポジションの音程を確保するのは相当に難しい。それをいとも簡単そうに重音までばしばし弾きまくる。技も熱意も闘志もなければできないことではないだろうか。
 今回のコンサートでよかったのはその超絶技巧だけではない。二人のアンサンブルはとてもよかった。聞こえているのは流れている大きな音楽の氷山の一角という感じで流れがとても自然で合わせてる感がない。最初から最後まで本当に聴かせてくれたコンサートだった。オケを牛耳るコンマスと低音を牛耳るベーストップがたった二人でこれだけのアンサンブルをするほど能力も感性も仲もあるということはオケの演奏にも少なからず影響を及ぼしているに違いない。前にあやのさんがきてくれて一番喜んでいるのはみのるくんではないかと書いたことがあるが、まるでそれを証明するようなアンサンブル。二人の牛耳る群響は聴きものである。