野田総理演説

 野田総理原発再稼動について演説した。動画を見てみたが印象としてはいい。こういう演説をやったことについては率直に評価する。原発問題が政治の表舞台にたったという気がするし、まっとうな議論の促進にもなるだろう。
 さて中身についての評価。まず安全対策。専門家による十分な対策がなされているといっている。その専門家が信頼できないのだからいくら言っても説得力はない。ただ、事故が起こった際に対応できるまともな人材を要所に配したといっているので、震災のときのような右往左往はなくなるかも知れない。安全基準は暫定だとはっきり言っていることは評価する。
 次に停電対策。計画停電が予定されるだけで実際に実施されなくても仕事にならなくなるのは確かで、無いにこしたことはない。もちろん安全優先が大切だが、国として対応しないわけにいかないのはわかるしすべきだろう。しかしだとすれば対応は遅すぎるだろう。
 次にエネルギー安全保障や電気代の高騰の話。電気代は高くなるといろいろ大変だから原発動かすといっているが、だとしたら沖縄はとってもかわいそうと言っているのと同じだ。エネルギー安全保障は石油がこなくなったら電力どころではないのだからたぶん生産は減退して電力需要は減るだろう。もし原発が電気を作ったほうがいいのであればそのときに動かせばいいのであって今の再稼動の理由にはならない。
 次に地元への配慮。これはだめだ。こんなことを理由にしたら他の理由はないも同然だ。第一、これまで地元への配慮こそが安全対策を行わない理由になっていたのを忘れたのだろうか。立地自治体は安全対策を行わせなかった加害者の一面があることを自覚すべきなのだ。地元への配慮というものは原発再稼動の議論に含んではいけない。
 まあそんなわけで中身について評価できるところはほとんどない。が、真正面に受け止めて自ら説明するという姿勢は評価する。ベターではあるということだ。中身も評価できるようになることは維新の会が政権をとらない限りないだろう。