「ねじれた絆 赤ちゃん取り違え事件の十七年」

映画「そして父になる」の元ネタと言われている本。主題が主題だけに重苦しいと思ったのだが、意外と面白かった(なんていうと顰蹙かも知れないが)。沖縄で起きた取り違え事件で6歳で血液型が合わないことから判明し、小学校入学前に入れ替え、それから17年を追った本。さらにその7年後文庫化され、その際取材しているので合計24年。それが1999年で女の子30歳。さらに親の親の出自から書かれているので大河ドラマのようだ。さすがのルポルタージュ。その頃の沖縄や八重山諸島の生活は相当に厳しい。そんなところも書かれ中身の濃い本である。二つの家族のうち片方は家庭がほぼ崩壊していて、そっちに戻された子はいろいろ策を弄してもとの家に戻ろうとする。それが結構大きな影響があって面白い。この本はこの子が主人公だ。びっくりするような展開があるのだ。やっぱりいくら賞をとってもあの映画はやはり起きたことのほんの一部しか切り取ってない。特に子供の気持ちはよくわからない。この本を読んで親の気持ちも子供の気持ちもわかりよかったと思う。この子の今が知りたいなーと思ってネットで引いたらなんと10月に本人や家族が実名でテレビに出演していたようだ。今は結婚して宮城にいるらしい。幸せみたいでよかった。