「里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く」

里山資本主義とは結局なんだかよくわからなかったが、要は田舎のよさを最大限に生かして幸せになるというようなことかな。同世代らしく問題意識とかすごく自分と共通しているし共感できる内容も多いのだが、なんか世代的な常識をまったく疑うことなく言い放題しているのは言うのは気持ちいいだろうが説得力はない。仮に里山資本主義がうまくいったとしてもこの本のなかで否定したがっているマネー資本主義の替わりになることはできないし。マネー資本主義と里山資本主義は対立するものではなく、結局どちらも普通の経済活動の一部に過ぎない。里山資本主義の実践といって紹介されている人たちは通常の経済から否定されているわけでなく、都会の新興企業と同様に新たな経済的価値を里山に見出しそれを取引しているのであってまさに経済活動そのものだ。そういう活動を紹介することには意味があるが、著者らの価値観に共感することはできない。ただ、田舎の価値を生かすということは意義あることであり、そういう方面に目を向けるのはいいことだと思う。