佐村河内守事件

この事件、なかなか面白い。もともとクラシック曲は作曲者不明とか有名作曲家の名前を騙るとかは数多い。アルビノーニアダージョカッチーニのアベマリアなんか有名だし、子供のころハイドンのと言われたおもちゃの交響曲モーツアルトの父作ということになって、最近ではアンゲラーという人の作らしいということになった。クラシックは曲がいいから残っているので作曲家が誰かということはそれほど関係がない。だから曲を売るために作曲者を詐称するのはよくあることなのだ。いいか悪いかは別としてその作戦で有名になってあとでばれても有名になった曲はなくならない。逆に現代では現代音楽でない曲はそうでもしないと有名になる機会はない。そう考えれば今回の事件は行ってみれば作戦勝ちであってあまり問題には思わない。
一方、この曲はNHKの番組で有名になった。NHKは詐欺の片棒を担がされた格好になるのでNHKやそれに便乗したメディアにとっては大問題だ。フジコは成功したからその再現を狙ったと思うし、見てる方もそれを期待したに違いない。自分もNHKスペシャルは見たし、そのあとCDをアマゾンの買い物かごにいれたのだが、そのまま今に至るまで買ってもいないし、聴いてもいない。フジコのように成功すればいずれ他の形で出てくるだろうからそのときでいいかと思った。伝えられるように名曲であれば今回の事件があってもそうなるだろうし、そうなればNHKも残念な形ではあるが音楽文化の発展に寄与したことにもなるのではないかな。
クラシックの新曲は現代音楽みたいなのしか評価されず、おそらく普通のクラシックが好きな人は普通のクラシックの新曲が聴きたいと思っているに違いない。そういう曲の出場所がどこにもないことが残念だ。ネットでそんな場ができて有効に機能し、クラシックの分野で今年の交響曲1位とかを聴くと名曲だったりしないかな。