「捏造の科学者 STAP細胞事件」

毎日新聞記者によるSTAP細胞事件を追った本。ほぼ時系列的に書かれていて思い出しやすいしわかりやすい。笹井さんとかのメールによるコメント等も多く、関係者が何を思っていたか伝わってくる。基本的には改革委の結論に賛同するが、理研は結局理事を変えず、根本的には変わっていないようだ。この本は新聞社から見たものだが、新聞社への違和感も感じる。他社とのスクープ合戦など新聞社以外では価値を持たないのではないだろうか。ただ、スクープをものにするということは他社と違う目線での問題意識があるからならではのことなので、新聞社の健全性を保つには必要なことなのだろう。また、新聞社ならではの科学者の理想像や論文偏重主義なとも見て取れる。この題名もそうだが、新聞社は不正とか捏造とかの言葉に強く反応し、検証を徹底的にしようとするが、研究者や世間一般はどちらかというとSTAP細胞があるのかないのかが重要で検証はそんなに重要視していない。今回の事件は理研が置かれた環境等も合わさり、ネットや、マスコミなどの相乗効果でこれほど大きくなった。三大不正とか言うがそんなものでもない気がする。論文誌に載ったからといって再現されずに消えていくダメ論文は山のようにあるだろう。役に立つものが生き残っていけば十分な気もするが。

捏造の科学者 STAP細胞事件

捏造の科学者 STAP細胞事件