「空飛ぶタイヤ」

空飛ぶタイヤ(上) (講談社文庫)

空飛ぶタイヤ(上) (講談社文庫)

(ネタバレ注意)いやー、これは面白かった。ほかのものが手につかなるくらい面白い。題材は三菱自動車のハブ破損事件。その事故を起こした弱小運送会社がトラックを作ったホープ自動車に整備不良と言われてもひるまず真実を追求していく。最後は現実とは違ってホープ自動車セントレア自動車に吸収合併されることになるが、今や日産傘下に入った三菱自工を暗示している。小説だからこそ書ける具体性が面白い。その具体性も本人の経験や取材によるものなのだろうがわざとらしさを感じさせない。最初から結果がわかっているようなものなのに目を引き付けて離さない。大活躍をするかと思えた週刊誌が意外に活躍しないところも現実っぽくて良い。最終的には警察が片付けるので水戸黄門のようなものだ。ほんとによくできた娯楽小説。