「常温核融合 研究者たちの苦悩と成果」


先日の公開実験のニュースを聞いてネットで調べて買った本。日本で初めて常温核融合実験で中性子を観測した水野という人が書いている。2005年の本だからかなり新しい。ほぼ同じ内容がなぜかネットで公開されている(URL)。
http://lenr-canr.org/acrobat/MizunoTjyouonkaku.pdf
内容はまさしく驚愕すべきものである。群論量子力学相対性理論がつくられた物語を読んで覚えるような感動をこの本の中で何回も感じることができる。フライシュマンポンズの実験の発表が1989年。多くの追試の再現性は悪かったが少ないながらも現象がおきることは確実となってきて、現象が起こるときの条件もおぼろげながら明らかになってきた(背景中性子が必要なことなど)。実験のバリエーションも急速に増え、中には100%の再現性が可能な手法もでてきた。さらに驚くべきことに現象が起こった後の生成物を分析すると実験前にはなかったはずの鉄やカルシウムなどが現象によって生成されていることが確認されこの分野の興味の半分は核変換に移ったことである。こんな大変なことがなぜ一般に知られないのだろうか。また少ないとはいえ軽水での現象も起こっている。次世代は水素社会とも言われているが水素が常温で核反応してしまうとしたらこれほど恐ろしいことはない。本当に今後水素社会が実現するなら常温核融合がおきる条件と妨げる条件を整備しておかないと危ない。この本の最後に日本の誰よりも多くこの手の実験をやってきたはずの著者が2005年に急激な反応にあって怪我をしたことが書かれている。確実に制御する方法を早急に見出していかなければならない。これだけ現代の測定器をつかい科学的なデータをだしているのに世界中でこの研究は非科学的といわれ研究費を削られ論文集にものせてもらえない状況が続いている。現に今回の公開実験も一般紙はまったく黙殺している。なぜこんなことになってしまうのか。わからないからこそ研究するのではないのか。データを読む力のある人はそれほど世の中にはすくないのだろうか。とはいえ私もデータを読んでいるわけではないが。