燃料電池はエコか


前に発電効率20%のエコウイルの検討をしたが、発電効率が低いとお湯ができすぎて消費できないのであまりエコにならないという結論だった。しかし松下が来年にも売り出そうとしている燃料電池は効率38%にもなるそうである。そこでこれならエコになるか検討してみよう。
毎年4000kWhの電気と600Lの給湯用灯油を使っているものとする。もし電気がすべて効率38%の火力でまかなわれているとすると発電に要する石油量は1050Lである。つまり合計1650L使っていることになる。
電気をすべて効率38%の燃料電池で発電すると発電に要する灯油は1050Lとなる。燃料電池の熱効率を50%とすると同時にできるお湯の量は灯油525L分となる。現状600L使っているときのボイラーの効率が87.5%だったときと同じである。電気とお湯がちょうどいい割合でできるので追加のエネルギーは必要ない。つまり1650L使っていたものが1050Lで済む計算となる。36%、年間600Lものエネルギー節約となるのでこれは十分エコと言っていいであろう。
以上は発電がすべて火力とした場合の石油量の比較である。次にCO2排出係数を利用してCO2の削減量を計算してみよう。電気の排出係数は0.425kg/kWh、灯油は2.5284kg/Lである。現状ではCO2を年間、電気で1700kg、灯油で1517kg、合計3217kg排出していることになる。これを燃料電池にした場合、2655kgの排出となる。年間CO2で562kgの削減となるが割合とすれば17.5%減でありCO2の量の削減量はたいしたことがない。
さらに電気を使う時間が主に深夜だった場合、原発の割合が高まるので通常の電気の排出係数はおそらく0.15kg/kWh程度まで下がるだろうから現状のCO2排出量が電気で年間600kg程度しかないと思われる。すると合計2127kgなのでこれを燃料電池に換えたりすると528kgも年間排出CO2量が増えることになる。
実用化に苦労した燃料電池だがやっとの思いで実用化してもエコかどうかは時間帯による。燃料電池は主にガス会社が推進しておりその電気を電力会社は買い取っていないが昼間の火力が多い時間帯に動かして電気を売るようにしないと全く意味のないものになる。