下野竜也

群響の定期を聴きに行った。指揮は下野竜也。テレビでよく見ているが生で聴くのは初めて。ウインザーはよく知った曲だがその指揮ぶりは実に面白い。一番楽しいところではぴょんぴょん飛び跳ねて指揮者がそんなに楽しんじゃっていいのか?と思うくらい。やりたいことが非常にわかりやすく、プロオケにはもったいないようである。動作がコミカルでみているだけで面白い。シューベルトは初めて聴くが最後まで飽きることがない。表現に手を抜くところがないのだ。すべてのフレーズに意味の感じられる表現をさせている。おそらくは指揮がわかりやすく意図が伝わりやすいためなのだろう。プロオケだって限界があるのだから指揮者のできることはなるべくやったほうがオケのできることも増大するはずだ。どうして世の中の普通の指揮者はわかりにくい指揮をするのだろうか。ただ動作がコミカルなだけに悲劇的な音にはちょっと聞こえなかったが。フルート協奏曲ではさすがに正確で安定した指揮を見せ、実力の高さが感じられる。最後ヒンデミットもじつに楽しく聴かせてもらった。全体を通じてひとつも退屈だとかつまらなく感じたようなところはなかった。おなじ群響でも指揮者が違うとこんなに違うと言うことを実感した演奏会だった。