「朽ちていった命」


臨界事故で中性子被曝した大内さんを治療した東大病院をNHKが取材した記録。被爆当初はちょっと体がはれているくらいで健常者とかわらないように見えた大内さんがわずか2ヶ月の間にかわりはてた姿になりついになくなってしまう。もともと致死量以上の中性子線を浴びたと推定されていたのだが、末梢血幹細胞移植など現代の医療技術を使えばもしやと言う期待は打ち砕かれた。どんどん状態が悪くなって望み薄の状態で患者に苦痛を与えざるを得ない治療を行うべきなのかどうなのか、治療者の苦悩は深い。中性子線は細胞のDNAを一瞬で粉々に破壊し、細胞の増殖ができなくしてしまうのだ。結局最後治ると言うことは本人の体が自己再生できることが前提なので奇跡がないとはいえないが治る可能性はゼロに近いことは疑いない事実なのだ。日本の原発は絶対安全をうたい文句にしてるので事故が起こった場合の備えをやるわけにいかず、手薄である。そうではなく事故が起こっても十分な備えをしておいてそれを強調した方が安心にはつながるような気がするのだが。技術的にはもちろんやっているだろうが社会的にはまったく遅れているようである。