「日本の問題」
これも面白い本だった。在日暦30年のイタリア人記者ピオ・デミリアという人の本。原発事故で多くの外国人が国外や西日本に逃げるなか、1月以上も被災地を取材してまわり、原発の警戒区域内や福島第一原発正門までいって取材したそうだから立派なものだ。しかし書き口は軽妙で読みやすく面白い。
菅総理とは以前から旧知の仲だそうで、東京電力や保安院への信頼はなくなっても菅総理だけは信頼していたそうである。一方日本のマスコミは40キロだか50キロだかに退避しちゃって警戒区域の取材などしなかった。それをとても不思議がっている。そういった本来の仕事をしないでおいてこれだけがんばった菅総理おろしには熱心だったんだからいったい日本のマスコミはどこを見て活動しているのだろう。こういうマスコミを批判する能力もない、つまり仕事しない人を仕事していないと評価できない日本という国はそりゃ海外の企業にも負けるでしょうよ。
面白かったのは本人以外の海外のマスコミはそれこそろくに取材もしないで想像で捏造した記事が多かったということ。確かに極東の島国で実際に何が起きたかより、いろいろおきて欲しいようなことがおきたという記事のほうが面白いだろう。ニュースでなくゴシップだというような言い方をしていた。そんなのがびっくりするくらい多かったらしい。そういうのを是正する役目も果たしたようだ。
youtubeで有名になった南相馬市の桜井市長にもあっている。そして将来国政を担うべきスケールの大きな人だといっている。そうなんだ。知らなかった。今後注目していくことにしよう。
イタリアも悪いところをみればそれこそろくでもない国のようだが、こんな人もいるのだ。そしてその人は日本を愛し、事故がおきてもどこにでもいって取材し、本当のことを世界に発信してくれる。世の中まだまだ捨てたもんじゃないね。
- 作者: ピオ・デミリア
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2011/10/26
- メディア: 単行本
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