電気料金値上げ反応の不思議

東京電力が家庭用電気料金を10%値上げするといってテレビやネット上で反発の声が上がっている。また、メガソーラー等の再生可能エネルギーの買取額案がでて、それが電気料金に上乗せされることの反発の声もある。そこで電気料金のこれまでの推移に興味をもってそれが載ってるサイトを探したのだがあんまり見つからず、ちょっと古く平成21年までの月290kWhを消費する場合の価格変動をグラフ化したサイトを見つけたのでそれがこれ。
http://www.caa.go.jp/seikatsu/koukyou/elect/el02.html

これを見ると長期的には電気料金は下がってきている。ここ10年でLNG価格は3.5倍にもなっているのに下がっているのはどうしてかわからないが、おそらく電力自由化論に対抗するために下げたのだろう。それから見ると10%の値上げなんてどうってことない。であれば、電気が足りないのだから値上げは当たり前だし、代替燃料費増大も事実なのだから値上げの必要性があるのも確かなのだから上げるべきだろう。10%上がったって10年前に戻るだけだ。一般人は値上げには敏感だけど値下げには鈍感であったというだけのことだ。

産業用はどうかというと静岡県のレポートから
http://www.pref.shizuoka.jp/kikaku/ki-260/data/index.html

家庭用と似たような推移だ。

約2円の値上げということであればH12ごろ、つまり2000年くらいのレベルに戻るだけであり、値上げによって産業界が打撃を受けるなんていっている人はどうかしている。

ところで値上げは原発の燃料費がかさむことなどによるもので、H23年度の原発代替燃料費は2.5兆円であった。H24年度は3兆円以上が見込まれる。この費用がかさむから原発再稼動しろという議論は多いが、この費用がもっと下げられるはずだろうという議論はほとんど聞かない。しかしこちらのサイトによれば
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/4124.html
東京新聞はこういっている。

「韓国は日本企業が投資したロシアのサハリン2から日本の半値以下で輸入し、3年後にはガス輸出国に転じる米国とも安値で契約済みだ。なぜ電力業界は、のほほんと大手を振っていられるのか。主たる理由は原燃料費調整制度の存在だ。産ガス国が値上げしても、為替変動で輸入価格が上昇しても、上がった分を電気料金に自動的に上乗せできる制度なので、過保護を見抜かれた電力業界は産ガス国の言い値で押し切られてしまう。産業界からの批判を避けるため、大口企業と割引契約を結んでいるともいわれている。中小・零細企業や家庭など、力の弱い需要家ばかりにツケを回し、声の大きい企業は割引で黙らせる。こんなあしき構造を許しては原燃料費調整制度を続ける政府も背信のそしりを免れない。円高を活用した海外ガス田の権益獲得など燃料調達も視野に入れた料金制度のゼロからの見直しを求める。」

要は日本の電力会社は甘ちゃんなのだ。電力会社の値上げ、原発燃料代替費がかさむことを本当に問題だと考える人は日本の電力会社の燃料高値買いこそをまっさきに批判するはずである。それをしないで値上げを避けるため、燃料費がかさむために原発再稼動をいうのは原発再稼動そのものを目的としているからである。日本の体質改善のためには原発停止はチャンスなのだ。

ところでメガソーラーなどの分の上乗せ費は現在は6銭。将来的には30〜40銭、月7000円家庭で月100円程度といわれている。この程度の金額は燃料費調整制度で常に変動している。もちろん太陽光に反対だからその100円も払いたくないという人はしょうがないが、値上げがいやとかいっている人はついこないだまでその程度の値段は払わされていたことなど気づかないようである。ついでに原子力村に払われる電源開発促進税はどんなに原発がいやでも37.5銭つまり今でも月100円は払わされているのである。