コロナ分析

オリンピックの頃からコロナ感染者数が急拡大したが、現在は逆に急速に収束している。政府や自治体は緊急事態宣言で人流の抑制を主に取り組んで来ているが、急拡大や急な収束の原因が人流とは思われず、別な要因が作用しているとしか思われない。それは何だろう。世の中にもいろいろな説があるのだろうが、自分が知るのは次の二つ。
一つの説は、コロナは直線的に増加しているが、検査が増減するので感染者数も増減するというものだ。確かに増えた時期はお盆や正月、ゴールデンウィークに重なっていて、それらに備えて民間検査を受ける人が増えたであろうことは想像できる。また、山の下がった時期の感染者数は今を除きこれまでは直線的に増加して来たように見える。ところが今現在の減り方はこれまでと異なり、直線から外れて減っている。これはコロナワクチンの接種率が上がってきたからと言う解釈もできるかも知れない。

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もう一つの説は永江一石と言う人が主張している山火事理論と言うものだ。山火事は発生すれば全て焼野原になるわけではない。まず枯木や枯れ草など燃えやすいものが燃え、それらが燃え尽きれば普通の木とかは燃えずに収束するのだ。コロナも感染しやすい人たちがいて、その人たちの間で流行が広がるが、感染しやすい人が一通り感染してしまえば他の人には伝染らず収束するというもの。では、なぜ何度も拡大するかというと株が違うから。その株で燃えやすい人が燃える。オリンピックの頃からの山はデルタ株だ。その前にも山があるたびに違う株が対応している。次の資料では各山が別の株に対応しているのが一目瞭然だ。

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厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード資料10/6より)

どちらもそれなりに説得力があるのでどちらの側面もあるのだろう。しかしどちらの説にも疑問もある。

検査が増えて感染者数が増えたとするなら、世の中には隠れ感染者が多数いて検査をすることで顕在化したと考えられるが、隠れ感染者が直線的に増加しているなら入院や死亡数も直線的に増加するはずだが、そうではない。死亡するまでコロナが判明しなかった割合も高いなら別だが、死亡するまで病状が悪化すればコロナの検査はするだろう。

一方、山火事理論もある株に感染する人の割合がそんなに少ないのか?というのは疑問だ。枯草と生木では燃えやすさに違いがあるのは確かだが、同じ人間の感染しやすさがそこまで人により違うものだろうか。株により新たな感染が増えるのは納得できるが感染者が減るのがその株に感染しやすい人に感染し終わったからというのは今一つ納得できない。

結局のところいろんな説があっても定説にならないというのはどの説もすべてを説明できないからなのだろう。そして結局人流の抑制に頼ることになるのかもしれないが、人流と感染拡大は比例しないことが分かっているのだからいい加減に人流抑制策はやめてもらいたいものだ。じゃあ何が対策になるかというのは様々な説に従ってやってみるしかないのでは。そのうち人流抑制策でない効果的な対策も見つかるだろう。ワクチンは少なくとも効果があることはわかっているから、ワクチン接種が終わった人は人流抑制策から完全にはずすというのは多くの人の納得が得られるのではないだろうか。